6月の猛暑は異常でした。7月に入りましたが梅雨空の鬱陶しい日々です。コロナの状況もなかなか落ち着かず、また感染者が増えて不安な毎日です。

さて、そうした気の晴れない中ですが、以前にもお伝えした松前重義先生の「野球殿堂入り」の式典が6月12日の全日本大学野球選手権決勝戦の日に神宮球場で行われました。本来であれば松前義昭理事長が受け取って頂くはずでしたが、先約が変更出来ず、恐れながら殿堂に飾られるレリーフのレプリカを私が拝受して参りました。

公式サイト「創立者・松前重義の野球殿堂入り表彰式が行われました」

殿堂入りの謝辞に際して、松前重義先生が野球を通じた国際親善に尽力されたことに触れました。特に冷戦下において当時のソビエトを中心とする東側諸国との交流に大きな功績を残されましたが、モスクワに野球場を建設したこともその代表的なものでした。奇しくも松前重義先生は1991年8月25日ソビエト共産党の解党が報じられた日にこの世を去りました。冷戦の終結を確認されてのご逝去であったように思います。

未だ出口の見えないウクライナ情勢ですが、改めて松前重義先生の平和実現に対する強い意志を思う時、我々に課せられたことは何であるか、先般東海大学同窓会雑誌Compassにて特集をした「平和を願う心 東海大学の源流から世界平和を考える」にて、東京大学の吉見俊哉先生と対談を行いました。詳しくは8月上旬に配付予定の同誌をご参照頂きたいと思いますが、その中で平和の実現にとっての民主主義の重要性が浮き彫りになったと思います。

それに関して一例を申し上げると、欧州復興開発銀行は、1991年旧共産圏である中欧・東欧諸国が自由主義経済に移行するに際して経済体制転換を促進する目的で設立されましたが、その支援の要諦には民主主義を維持発展することが盛り込まれています。初代の総裁を務めたフランスの経済学者ジャック・アタリ氏の提唱によるものですが、彼はこのウクライナ戦争に際して「20世紀以降で民主主義国間同士の戦争は起きていない」として、民主主義が平和を維持するために重要な役割を担っていることを強調しています。

ところで、目下は参議院選挙の真っ最中です。各党がそれぞれの主張を展開していますが、まさに民主主義の下であるからこそこうした選挙活動が可能であると思います。18歳からの参政権が認められましたが、残念ながら18歳から20代の投票率の低さが報じられています。世界平和の実現を大学の使命と考える東海大学にとって、この世代の健全な民主主義に対する意識を醸成することは重要なことです。

そういう訳で、何とか大学生に選挙に関心を持ってもらいたいと思いますが、若者にとって選挙に関心が向かないのは、自分達の身近なところにある問題として響いていないからではないかと考えています。例えば、前回のブログに登場した荒木ちはるさんは東京という地域の課題を掲げて、東京都選挙区の参議院議員選挙に立候補されていますが、そうした議論がこの選挙を契機に各候補者の間で深まることを期待したいと思っています。

大学は7月末には春学期も終了し夏休みを迎えますが、皆さま方も感染予防を心掛け楽しい夏休みをお迎え下さい。