皆さまご無沙汰しております。秋学期が始まってブログ記事を書きだそうかと思った時に硬式野球部の不祥事が発覚しました。その対応とともに、そのことに触れずに他の何かの考えをブログでお伝えするのが憚られましたので、中止をしておりました。12月18日付で、日本学生野球協会からの処分通知を受け、大学としての処分も一応完了いたしましたので、ブログを再開しようと思います。

【12月21日】本学湘南キャンパス硬式野球部の不祥事に関する最終報告とお詫び

さて、今年はコロナ禍に翻弄された一年でした。毎日の感染者数の報道などで気持ちの晴れない毎日ですが、気分を前向きに変える東海大学の話題を二つご紹介したいと思います。

まず一つは「朝日教育会議」です。これは10の大学がそれぞれに取り組んでいる課題を、朝日新聞社の企画で公開討論するものです。今年はリモートでの配信でしたが、東海大学は12月5日に「多様性の時代を生きる」というテーマで行いました。グローバル化が進む現代、異なる文化的背景を持つ人々がお互いの違いを認め合い、共生していくことが重要になっています。すべての人々が違いを超えて安心に暮らせる世界を築くために、大学教育が果たすべき役割とは何かを考えるとするものです。

朝日教育会議2020 東海大学12月5日開催「多様性の時代を生きる」

一国至上主義が多様性を否定する風潮が沸き起こっている現状を考えますと、それをくい止める教育の必要性が益々重要です。松前重義先生が示した東海大学の進めるグローバル化の要点は、まさにそこにあります。そのことを再度認識するために、基調講演として東海大学出身の女優であり社会活動家でもあるサヘル・ローズさんをお迎えいたしました。その過酷な人生経験の中から得られた多様性の重要さを、自らの言葉で語って頂きました。

朝日新聞社と「朝日教育会議2020」を実施しました

サヘル・ローズさんはイランにおける紛争の中で孤児となりましたが、養女として迎えられ養母と共に日本に移り住みました。それまでの体験も過酷を極めたものでありましたが、日本に来てからも貧しさやいじめという逆境の連続にありました。しかしその中で手を差し伸べてくれた人々に支えられ、それを乗り越え今日があります。そうした経験の中から語られる言葉には重みがあり、当日の視聴者に感銘を与えたものと思います。

私が東海大学の国際活動について若干の説明をした後、教養学部の田辺圭一・小坂真理両先生とサヘル・ローズさんの3人でのパネルディスカッションが行われました。田辺先生は国連食糧計画など世界の発展途上国での勤務経験があり、小坂先生はドイツ・ボンにある国連気候変動枠組条約事務局で勤務された経験を有する方です。その議論の中身については、先のURLをご参照頂きたいと思います。現在、東海大学には吉川国際担当副学長を筆頭に、このようなグローバルで活躍した教員が多数在籍しております。そういう人材の存在を十分に広報出来ていない感もあり課題と思っています。

もう一つは熊本の農学部の新校舎が着工の日を迎えたことです。東海大学にとって明るい話題です。今週月曜日の12月21日に密を避ける形で参加者を制限して起工式を行いました。それでも木村熊本県副知事をはじめ西村益城町長・荒木嘉島町長・日置西原村長・吉良南阿蘇村長に加え、設計・施工会社の社長や関係者にご出席頂きました。2023年4月の新たな農学部キャンパス開設に向け、工事が始まります。

※画像は臨空校舎イメージです。

農学部の新キャンパスについてはこれまでも、南阿蘇の実習施設の新設などをご紹介した際にも触れておりますが、地鎮祭・起工式の模様は以下のURLをご覧頂ければと思います。

「東海大学九州キャンパス臨空校舎整備工事」の地鎮祭と起工式を執り行いました

さて、熊本地震から来年4月には丸5年目を迎える訳ですが、亡くなった3名の学生の方々のことは今でも深い悲しみが募ります。他方で被害を負った当時1年生の学生諸君も今年の3月には卒業をいたしました。その中のひとり、梅崎世成君は震災で片足を無くしました。入学して2週間目の出来事です。その後の4年間、ハンディをものともせず勉学に学外活動に積極的に取り組み、ご本人の希望する動物と関わる仕事として農場を経営する会社に就職されました。その模様はNHKの全国放送のニュースでも取り上げられ、東海大学の校友会誌でも記事にいたしました。

校友会誌TOKAI199号「この人インタビュー」PDF

コロナ禍の中で兎角塞ぎがちな日々ですが、梅崎君のように明るく前向きに生きていく姿を大いに範として新しい年を迎えたいと思います。皆さま良い年をお迎え下さい。